皆様、お仕事お疲れ様です。
日々、部下の指導やプロジェクトの進行管理に追われていることとお察しいたします。
本日は、元徳島県警捜査第一課警部の秋山博康氏による、非常に興味深く、かつ背筋が凍るような記事について、皆様と一緒に考えていきたいと思います。
記事のテーマは、最近街中でよく見かけるようになった「電動キックボード」や、自転車のような見た目の原付バイク「モペット」についてです。
「自分には関係ない」と思っていませんか。
実はこれ、現代のビジネスにおけるリスク管理の観点からも、決して無視できない重大な問題を孕んでいるのです。
記事の中で紹介されていた、「ベンツの修理代を親が全額負担するハメになった」という事例。
これは決して他人事ではありません。
もし皆様の部下や、あるいは皆様自身のご家族が、知識不足のままこれらの乗り物を利用し、大事故を起こしてしまったらどうなるでしょうか。
今日は先生として、この「見えないリスク」について、法律とビジネスマナーの両面から優しく、しかし厳しく解説させていただきますね。
まず、皆様にしっかりと認識していただきたいのが、「モペット」と「電動アシスト自転車」の決定的な違いについてです。
記事にもありますが、ペダルを漕がずに電気の力だけで進むことができる「モペット」は、法律上は完全に「原動機付自転車」、つまりバイク扱いとなります。
見た目がどんなにスマートで、自転車のように見えたとしても、法律の眼は誤魔化せません。
公道を走るためには、運転免許証の携帯はもちろんのこと、ヘルメットの着用、ナンバープレートの取得、ウィンカーやブレーキランプなどの保安部品の装備が必須です。
さらに絶対に忘れてはならないのが、自賠責保険への加入義務です。
しかし、Z世代を中心とした若い方々の中には、これらを「ただの楽な自転車」と勘違いして、無免許・無保険で乗っているケースが後を絶ちません。
ビジネスの現場に置き換えて考えてみましょう。
もし、皆様の部下が通勤途中や営業先への移動に、違法な状態でモペットを使用していたらどうなると思いますか。
万が一事故を起こした場合、それは単なる個人の過失では済まされません。
企業としての管理責任、いわゆる「使用者責任」を問われる可能性が極めて高いのです。
「知らなかった」では済まされないのが、コンプライアンスの鉄則ですよね。
会社名が報道され、「社員教育が行き届いていない企業」というレッテルを貼られれば、長年築き上げてきたブランドイメージは一瞬で崩壊します。
だからこそ、管理職である皆様には、部下がどのような手段で通勤しているのか、正しい交通ルールを理解しているのかを把握する義務があるのです。
次に、2023年の法改正で注目を集めている「電動キックボード」についても触れておきましょう。
16歳以上であれば免許不要で乗れるようになった特定小型原動機付自転車ですが、ここに大きな落とし穴があります。
それは、ヘルメット着用が「努力義務」であるという点です。
「努力義務だから被らなくていい」と解釈している若者が多いのですが、これは大きな間違いです。
物理的な危険性は、法律が変わっても何ら変わりません。
生身の体で車道を走り、転倒すればアスファルトに頭を打ち付けることになります。
記事の中で秋山氏が指摘しているように、着用率はわずか4パーセント程度だそうです。
ビジネスパーソンにとって、身体は最大の資本です。
ヘルメットを被らずに事故に遭い、長期の入院や後遺症を負うことになれば、キャリアプランそのものが狂ってしまいます。
「自分の身を守ることは、仕事への責任を果たすことでもある」
この意識を、ぜひ部下の皆様にも伝えてあげてください。
そして、私が最も懸念しているのが、記事でも強く警告されていた「飲酒運転」の問題です。
「終電がないからキックボードで帰ろう」「少しお酒が入っているけれど自転車感覚だから大丈夫だろう」
このような甘い考えが、人生を破滅させます。
電動キックボードであっても、お酒を飲んで運転すれば、それは立派な犯罪です。
5年以下の懲役または100万円以下の罰金という、非常に重い刑罰が科される可能性があります。
もちろん、懲戒解雇の対象にもなり得る重大な規律違反です。
「飲み会の帰りにうっかり」では、失うものが大きすぎます。
歓送迎会や接待のシーズンには、部下に対して「飲んだら乗るな」を、車の運転と同様に、キックボードや自転車に対しても徹底して指導する必要があります。
さて、ここでお金の話に戻りましょう。
記事のタイトルにもあった「ベンツの修理代」の話です。
もし、無保険のモペットやキックボードで高級車に接触してしまったら。
あるいは、歩行者をはねてしまい、相手に重篤な障害を負わせてしまったら。
賠償額は数千万円から、場合によっては億単位になることも珍しくありません。
自賠責保険に入っていなければ、その全額が自己負担となります。
親御さんが支払うことになるケースも悲惨ですが、もし皆様自身が加害者になれば、自宅の売却や自己破産も現実味を帯びてきます。
たった一度の移動の手軽さを優先した結果、一生をかけて償わなければならない借金を背負うことになるのです。
これは、リスク管理の観点から見て、あまりにも割に合わないギャンブルだと思いませんか。
ビジネスの世界では、契約書の条文一つひとつを精査し、リスクを回避するために細心の注意を払いますよね。
それと同じレベルの注意深さを、日々の移動手段にも向けるべきなのです。
「便利さ」の裏側には、常に「責任」が張り付いていることを忘れてはいけません。
今回の記事を読んで、私が皆様にお願いしたいアクションプランは2つです。
一つ目は、ご自身の通勤ルートや移動手段における保険加入状況を、今一度見直していただくこと。
特に自転車保険や、個人賠償責任保険の特約がどのようになっているか、約款を確認してみてください。
二つ目は、朝礼やミーティングの雑談レベルで構いませんので、この話題を部下と共有していただくことです。
「最近、モペットの取り締まりが厳しいらしいね」「キックボードで事故ったら保険が出ないこともあるらしいよ」
そんな一言が、部下の安全意識を高め、結果として会社を守ることに繋がります。
知らなかったでは済まされない法律の罠から、大切なチームメンバーを守れるのは、リーダーである皆様の「一言」なのです。
秋山氏の記事にある通り、電動の乗り物は確かに快適で、これからの社会に必要な移動手段の一つです。
しかし、それは正しいルールとマナー、そして適切な保険という「防具」を身につけて初めて成立するものです。
新しいテクノロジーやサービスが登場した時こそ、大人の分別と、ビジネスマンとしてのリスク管理能力が試されます。
皆様には、ぜひスマートで安全な、真の意味での「かっこいい大人」であってほしいと願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
明日の通勤も、どうぞご安全に。